Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme
これが、出尻伝兵衛の敵役。
もとは、麹町平河町の御用聞で、先年同心の株を買い、以来、むかしのことを忘れたように権柄に肩で風を切る役人面。いよう、と言えば、下るはずの首が、おう、と逆に空へ向くやつ。お前らとは身分がちがうという風に碌な挨拶さえ返さない。これでは伝兵衛でなくとも癪に触る。
真中の窪んだしゃくった面で、鉢のひらいた福助頭。出ッ張ったおでこの下に、見るからにひとの悪るそうなキョロリとした金壺眼。薄い唇をへの字にひき曲げ、青黒い沈んだ顔色で、これが痩せこけた肩をズリ下げるようにして、いつも前屈みになってセカセカ歩く。ちょうど、餓鬼草紙の貧乏神といった体。
伝兵衛のほうは、綽名の通り出ッ尻で鳩胸。草相撲の前頭とでもいった色白のいい恰幅。何から何まで反対なので、二人が並ぶと、実以て、対照の妙を極める。
こんなことも大いに原因している。向うでも嫌な奴だと思っているのだろうが、こちらでも気に喰わねえと、思わず眉が顰む。そうなくても、敵同志のような南と北。しっくりゆこうはずがないので。
葭簀を分けるようにして入って行くのを、象の後脚のところに蹲んでいた重右衛門、首だけこちらへ捩向けて、眼の隅から上眼で睨め上げ、ふふん、と鼻で、笑った。