Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.367 Zeichen · 36 Bildschirme
座に着くと、藤十郎は膝の上へ顔を俯向けながら、
「わたしのような、こぎゃん不幸者は唐天竺まで捜したッてまたとあろうたア思われまッせん。同じ日の同じ刻に江戸と長崎で姉娘と妹娘が唐人めらの手にかかって殺められるなンて、そぎゃんことが、この世にあり得ることでッしょうか」
源内先生は、ひえッと息を引いて、
「まあ、ちょッとお待ちください。いま伺っていますと江戸と長崎で同じ日の同じころに姉娘と妹娘が、と仰言いましたが、すると、何んですか、お種さんの方にも何か間違いが……」
藤十郎は、頷いて、
「そン通りでございます。姉娘のお種も同じ七月十五日の盂蘭盆の夜、古川町闕所屋敷で唐通詞の陳東海に匕首で脊骨の下を突ッぽがされて死んでしまいました」
先生は思わず膝を乗出して、
「それは、ほ、ほんとうのことですか」
「わたしが何ンの虚言を言いまッしょうか。本当のことでござります」
「陳東海が殺したと誰が言いました」
「お種がじぶんの口から申しました」
「煩いようですが、確かに、陳東海だと言いましたか」
「そン通りでございます」
「それを聞いたのは誰でしたか」
「このわたしでござります」
同じ七月の十五日、江戸と大阪と長崎で三人の男女が同じ人間に同じ方法で殺害された。