Japanische Klassiker mit Furigana
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あきばしょから
平野零児随想集 らいちゃん
平野 零児
Lesen Sie 平野零児随想集 らいちゃん (あきばしょから) von 平野 零児 (ひらのれいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.838 Zeichen · 48 Bildschirme
「君、安心してくれ給え、僕も直ぐ帰るよ」
軽便鉄道に乗った僕は、その元気な声に安心して吉川さんと別れた。
大正末期に有島武郎氏が婦人記者と情死をしたことなどから、僕は万一を心配していたことが杞憂に過ぎなかったことを知って安心した。人懐つこい人ではあるが、内には剛毅な、逞ましい生活力を蔵している吉川さんは芸術的にも決して、自棄に陥って自らを失うような人でないこと、前半生に、可なりの苦難を経乍らも少しもそんな傷痕を残していないでいる吉川さんを感じとることができたからであった。
果して吉川さんは数日後に山を降りて、東京に帰ってきた。上落合の邸を売って、芝公園に借家すると吉川さんの旺盛な創作活動は復活した。
僕はこの時の吉川さんの接触が、一番印象に深い。
「君、いいんだよ、いいんだよ。人生は簡単じゃないよ。帰ってまだ三年じゃないか」
まだ戸迷いしている僕を、顔を合わす度に心から慰めの言葉の裏に無言の激励をしてくれる吉川さんの声と眼に、僕には親身以上のものを感じている。
燈火会のメンバーで与瀬に遊んだことがある。途中薩多峠を越える時、吉川さんが突然叫んだ。
「君、君、こんなだよ。