Japanische Klassiker mit Furigana
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ねんまつのいちにち
年末の一日
Lesen Sie 年末の一日 (ねんまつのいちにち) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.979 Zeichen · 7 Bildschirme
廊下を抜けた茶の間にはいつか古い長火鉢の前に昼飯の支度も出来上っていた。のみならず母は次男の多加志に牛乳やトオストを養っていた。しかし僕は習慣上朝らしい気もちを持ったまま、人気のない台所へ顔を洗いに行った。
朝飯兼昼飯をすませた後、僕は書斎の置き炬燵へはいり、二三種の新聞を読みはじめた。新聞の記事は諸会社のボオナスや羽子板の売れ行きで持ち切っていた。けれども僕の心もちは少しも陽気にはならなかった。僕は仕事をすませる度に妙に弱るのを常としていた。それは房後の疲労のようにどうすることも出来ないものだった。………
K君の来たのは二時前だった。僕はK君を置き炬燵に請じ、差し当りの用談をすませることにした。縞の背広を着たK君はもとは奉天の特派員、――今は本社詰めの新聞記者だった。
「どうです? 暇ならば出ませんか?」
僕は用談をすませた頃、じっと家にとじこもっているのはやり切れない気もちになっていた。
「ええ、四時頃までならば。………どこかお出かけになる先はおきまりになっているんですか?」
K君は遠慮勝ちに問い返した。
「いいえ、どこでも好いんです。」
「お墓はきょうは駄目でしょうか?」