Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうふくにくらしたふたり

幸福に暮らした二人

小川 未明

Lesen Sie 幸福に暮らした二人 (こうふくにくらしたふたり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.713 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

その男には、美しい娘がありました。ある日のこと、その男は甲のもとへやってきました。

「私の娘をおまえにやるから、いつかのぴかぴか光るものを私にくれないか。」といいました。

甲は迷いました。その男の娘というのは、評判の美人であったからであります。そして、すぐには返答ができなかったので考えておくことにしました。甲は、独りになって、その娘の姿を目に思い浮かべました。かわいらしい口もと、白いきれいな歯、そして、二つの美しい目の光は、大事にしているあの金属から放つ光よりも、もっとやさしいうるおいのあるものでありました。甲は、もう、その娘を自分のものにされることなら、あの大事なものを手放してもいいという気になりました。そして、そのことを乙に相談しました。

すると、乙は目に涙をたたえながら、

「あの暗い、怖ろしい夜のことを忘れたか? 俺たちは、ああして助かったのだ。そして、あの港に上がって、ああしてふたたび生きてここに帰ったのだ。二人は苦労を一つにしてきたのに、おまえは自分一人の幸福のために、たいせつな記念を失っていいのか?」といいました。

甲は、自分の考えが悪かったと悟って、乙にわびたのであります。