Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
Lesen Sie 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.797 Zeichen · 107 Bildschirme
先方から返事のあり次第直ぐ出掛ける事になっている」
「犬ボーイとは恐入ったね。その決心はいいとして、ここにこんな広告が出ている」柏はポケットから新聞を引出して広告欄を指差した。
求秘書
東洋の人情風俗に精通せる、係累なき青年紳士を求む、当方住込、
履歴書を添え申出られたし。(姓名在社三六〇号)
「結構な話だが、競争者が多いだろうし、それにこっちは日本人ときているから、先ず採用される見込はないね」私は気の乗ない返事をした。
「そんな心掛けだからいけない。注文通り係累はないし、東洋の事情には通じ過ぎているじゃアないか。物は試しだ。兎に角手紙を出して当って見るがいい」柏は熱心にいった。この男は自分のいいと思った事は、何事に拘らず他人に強いる癖がある。無下に断れば気を悪くするに極っているので、云わるるままに履歴書を認め、希望条件はなしと記した。
「これで上等だ。俺が投函してきてやる」といって柏はフイと表へ出ていったが、それっきり、何時まで待っても帰って来なかった。
三
翌日の午後、私は思掛けぬ手紙を受取った。それは前日の広告主からの返事である。
――拝啓、