Japanische Klassiker mit Furigana
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まぼろしのたて
幻影の盾
Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme
前は牛を呑むアーチの暗き上より、石に響く扉を下して、刎橋を鉄鎖に引けば人の踰えぬ濠である。
濠を渡せば門も破ろう、門を破れば天主も抜こう、志ある方に道あり、道ある方に向えとルーファスは打ち壊したる扉の隙より、黒金につつめる狼の顔を会釈もなく突き出す。あとに続けと一人が従えば、尻を追えと又一人が進む。一人二人の後は只我先にと乱れ入る。むくむくと湧く清水に、こまかき砂の浮き上りて一度に漾う如く見ゆる。壁の上よりは、ありとある弓を伏せて蝟の如く寄手の鼻頭に、鉤と曲る鏃を集める。空を行く長き箭の、一矢毎に鳴りを起せば数千の鳴りは一と塊りとなって、地上に蠢く黒影の響に和して、時ならぬ物音に、沖の鴎を驚かす。狂えるは鳥のみならず。秋の夕日を受けつ潜りつ、甲の浪鎧の浪が寄せては崩れ、崩れては退く。退くときは壁の上櫓の上より、傾く日を海の底へ震い落す程の鬨を作る。寄するときは甲の浪、鎧の浪の中より、吹き捲くる大風の息の根を一時にとめるべき声を起す。退く浪と寄する浪の間にウィリアムとシーワルドがはたと行き逢う。「生きておるか」とシーワルドが剣で招けば、「死ぬところじゃ」