Japanische Klassiker mit Furigana
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まぼろしのたて
幻影の盾
Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme
それが見る間に殖える。殖えた火の粉は烟諸共風に捲かれて大空に舞い上る。城を蔽う天の一部が櫓を中心として大なる赤き円を描いて、その円は不規則に海の方へと動いて行く。火の粉を梨地に点じた蒔絵の、瞬時の断間もなく或は消え或は輝きて、動いて行く円の内部は一点として活きて動かぬ箇所はない。――「占めた」とシーワルドは手を拍って雀躍する。
黒烟りを吐き出して、吐き尽したる後は、太き火が棒となって、熱を追うて突き上る風諸共、夜の世界に流矢の疾きを射る。飴を煮て四斗樽大の喞筒の口から大空に注ぐとも形容される。沸ぎる火の闇に詮なく消ゆるあとより又沸ぎる火が立ち騰る。深き夜を焦せとばかり煮え返るの声は、地にわめく人の叫びを小癪なりとて空一面に鳴り渡る。鳴る中に※(「(諂-言)+炎」、第3水準1-87-64)は砕けて砕けたる粉が舞い上り舞い下りつつ海の方へと広がる。濁る浪の憤る色は、怒る響と共に薄黒く認めらるる位なれば櫓の周囲は、煤を透す日に照さるるよりも明かである。一枚の火の、丸形に櫓を裏んで飽き足らず、横に這うての胸先にかかる。炎は尺を計って左へ左へと延びる。たまたま一陣の風吹いて、逆に舌先を払えば、左へ行くべき鋒を転じて上に向う。