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Japanische Klassiker mit Furigana

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げんだん

幻談・観画談 他三篇

幸田 露伴

Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

それから続いて自分は二尾のセイゴを得たが、少年は遂に何をも得なかった。

時は経った。日は堤の陰に落ちた。自分は帰り支度にかかって、シカケを収め、竿を収めはじめた。

少年はそれを見ると、

小父さんもう帰るの?

と予に力ない声を掛けたが、その顔は暗かった。

アア、もう帰るよ。まだ釣れるかも知れないが、そんなに慾張っても仕方はないし、潮も好いところを過ぎたからネ。

と自分は答えたが、まだ余っている餌を、いつもなら土に和えて投げ込むのだけれど、今日はこの児に遺そうかと思って、

餌が余っているが、あげようか。

といった。少年は黙って立ってこちらへ来た。しかし彼は餌を盛るべき何物をも持っていなかった。彼は古新聞紙の一片に自分の餌を包んで来たのであったから。差当って彼も少年らしい当惑の色を浮めたが、予にも好い思案はなかった。イトメは水を保つに足るものの中に入れて置かねば面白くないのである。

やっぱり小父さんが先刻話したようにした方が宜い。明日また小父さんに遇ったら、小父さんその時に少しおくれ。

といって残り惜しそうに餌を見た彼の素直な、そして賢い態度と分別は、少からず予を感動させた。