Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme
お母さんは何時亡くなったのだい。
去年。
といった時には、その赭い頬に涙の玉が稲葉をすべる露のようにポロリと滾転し下っていた。
今のお母さんはお前をいじめるのだナ。
ナーニ、俺が馬鹿なんだ。
見た訳ではないが情態は推察出来る。それだのに、ナーニ、俺が馬鹿なんだ、というこの一語でもって自分の問に答えたこの児の気の動き方というものは、何という美しさであろう、我恥かしい事だと、愕然として自分は大に驚いて、大鉄鎚で打たれたような気がした。釣の座を譲れといって、自分がその訳を話した時に、その訳がすらりと呑込めて、素直に座を譲ってくれたのも、こういう児であったればこそと先刻の事を反顧せざるを得なくもなり、また今残り餌を川に投げる方が宜いといったこの児の語も思合されて、田野の間にもこういう性質の美を持って生れる者もあるものかと思うと、無限の感が涌起せずにはおられなかった。
自分はもう深入りしてこの児の家の事情を問うことを差控えるのを至当の礼儀のように思った。
では兄さん、この残り餌を土で団めておくれでないか、なるべく固く団めるのだよ、そうしておくれ。そうしておくれなら、わたしが釣った魚を悉皆でもいくらでもお前の宜いだけお前にあげる。