Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
Lesen Sie 幽霊と推進機 (ゆうれいとスクリュウ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.905 Zeichen · 24 Bildschirme
「……馬鹿ッ……」
と、底力のある声で船長が云った。腕を高やかに組みながら……。
「……俺の部下を海に投り込むような真似をしやがったら……貴様もだぞ……」
扉の内側に半分隠れていた水夫長の巨大な尻がピタリと動かなくなった。そのまま背後向きにソロソロと引返して来ると、火の出るような一瞥を船長にくれた……と思ううちにツカツカと自分の室に這入って轟然と扉を閉めた。
そのあとから二等運転手と機関長が勢よく駈け込んで行ったが、これは水夫長を慰撫するためだという事がすぐにわかった。だから私もそのアトから静かに這入って、運転手と機関長の背中越しにジッと様子を聞いてみると、水夫長が激昂するのには、やはり相当の理由があった。
そのチブスに罹かった二人の水夫というのは、船長が最近に、新嘉坡で拾い上げて、水夫長に押し付けたものであった。むろん船長の見込だけあって、腕は相当に立つし、温柔しくもあったが、しかし、その陰気臭い、妙に気取った二人の姿を見た最初から、水夫長は何となく「虫が好かない」と思った。……というのは元来、新嘉坡あたりで投げ出されている船員に碌なものが居よう筈がなかった。