Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
Lesen Sie 幽霊と推進機 (ゆうれいとスクリュウ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.905 Zeichen · 24 Bildschirme
ハイカラの一等運転手がその舳に突立って、高い鼻を上向けながら、お天気を嗅ぐような恰好をしていたが、私が近づいて行く靴音を聞くと、急に振り返って片手を揚げた。
「……ヤッ……済みませんが……大急ぎで水夫長を呼んで来てくれませんか」
言葉付は叮嚀であったが、顔色はかなり緊張していた。
「……それからですね……今大きなスコールが来かけていますから、そいつが通過するまで君は甲板に出ないで下さいね」
……果して……と思うと、暴風に慣れない私は少々ドキンとした。そのまま大急ぎで船室に引返したが、水夫長はモウ別の階段から出て行ったらしく、船室の扉が開け放しになっていた。
私は船酔の薬を混ぜたウイスキーを一息に嚥み下しながら、寝台に頭を突込んだ。夕食は無論喰わなかった。
南支那海の三角波というのは、チョウド風呂敷を下から突き上げるような恰好に動くものだそうで、船首に落ちかかる波の頭だけでも大きいのは十噸ぐらいの力がある。そんなのにタタキ廻されると、イクラ馬力をかけてもかけても船が進まないどころか、逆戻りしている事さえあるという。世界を股にかけた船員でも、真剣になってその恰好の恐ろしさを説明する位であるが、二昼夜の間角瓶を抱いてヘベレケになっていた私は、トウトウその珍らしい波を見ないでしまった。