Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆうれいづま

幽霊妻

大阪 圭吉

Lesen Sie 幽霊妻 (ゆうれいづま) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.233 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

「では、これから、そのお墓まで連れて行ってくれませんか」

と今度は警官のほうへ向き直って、

「ねえ警部さん。この線香の束は、まだこれから使うつもりの新しいものですよ。ひとつこれから、谷中の墓地へ出掛けて、こいつをここへ忘れて行った、その恐ろしいものにぶつかって見ませんか?」

とまアそんなわけで、それから十分ほど後には、もう私共は警察の自動車に乗って、深夜の谷中墓地へやって来たのでございます。

墓地の入口のずっと手前で自動車を乗り捨てた私共は、お医者様の御注意で、お互いに話をしないように静かに足音を忍んで、墓地の中へはいったのでございますが、ちょうどそのとき雲の切れめを洩れた満月の光が、見渡す限りの墓標を白々と照らし出して、墓地の周囲の深い木立が、おりからの夜風にサワサワと揺れるのさえ、ハッキリと手にとるように見えはじめたのでございます。――いや全くこの時のものすごい景色は、案内人で先へ立たされていた私の頭ン中へ、一生忘れることのできないような、なんて申しますか、印象? とかいうものを、焼きつけられたんでございます。

――ところが、それから間もなく、奥様のお墓の近くまでやって参りました私は、不意にギョッとなって立ち止まったのでございます。