Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
Lesen Sie 幽霊船の秘密 (ゆうれいせんのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.846 Zeichen · 62 Bildschirme
「どうも、あの雲が気になるね」
などと、いっているうちに、入道雲がくずれだした。それは特別に灰色がかった大きい奴で、下の方が煙のようなものの中に隠れていた。
「おい、一雨やってくるぜ。いまぴかりと光ったよ」
「おう、入道雲の中で光ったね。うむ、風が出てきたぞ。これはまたやられるか」
なにしろ助けを呼ぶにも、どこにも一隻の船影さえ見えないのである。櫂を握るにもあてはなし、風浪のまにまに漂ってゆくより外に仕方がない身の上であった。そこへ一時的の雷雨にしろ、飢渇と疲労とに弱っているところを叩かれる身はつらいことであった。
そうこうしているうちに、海は白い波頭を見せて荒れてきた。ぽつり、ぽつりとおちてくる大粒の雨!
やがてあたりは真暗になり、盆をひっくりかえしたような豪雨となった。それに交って、どろんどろんと地軸もさけんばかりに雷鳴はとどろく。
「おい離れるな」
「おう、舵をとられるな」
二艘のボートは、たがいに必死のこえで叫びあう。どこが海だか空だか分らない。そのときだった。
「あっ、幽霊船が通る!」
「えっ、幽霊船!」
灰色の壁のような雨脚の中に、一隻の巨船が音もなく滑ってゆく。