Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょみんせいかつ

庶民生活

豊島 与志雄

Lesen Sie 庶民生活 (しょみんせいかつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.353 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

帰ろうとただ一言、ふいに立ち上ることもあった。

或る夜、内山が饒舌になってる時、彼と顔見知りの中村がはいって来た。砂利一件の時に来合せていた粗末な洋装の女の亭主だった。彼はもうだいぶ酒気を帯びていたが、焼酎を取り寄せて貰ってソバを肴にして飲んだ。

「内山さん、だいぶ御機嫌のようですね。」

内山も愛想よく返事をした。

「どうも僕は酒を飲むと、ひどくお饒舌りになりましてね、そのくせ、何を饒舌ったのかさっぱり覚えていないもんだから、あとで困るようなことが起ります。」

「そりゃあ御同様……酒の上のことは、なんでもこう、さっぱりするに限りますよ。聞いたことや見たことを、後々までしつこく覚えてるやつにはかないません。」

「然しそんなのは、生酔いですな。」

「ところが、酔えば酔うほど、その時のことをはっきり覚えてるのがありますよ。うちの女房なんかその方でしてね……。奥さんはどうですか。」

朋子はただ微笑しただけで、何とも答えなかった。

「もっとも、奥さんはちょっと内山さんの相手をなすってるだけで、ほんとにお酔いなさることなんかないでしょうけれど……。」

中村は眉間に皺を寄せて、何やら考え込んだ。