Japanische Klassiker mit Furigana
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でし
弟子
Lesen Sie 弟子 (でし) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.284 Zeichen · 49 Bildschirme
善をなすことの報は、では結局、善をなしたという満足の外には無いのか? 師の前では一応納得したような気になるのだが、さて退いて独りになって考えてみると、やはりどうしても釈然としない所が残る。そんな無理に解釈してみたあげくの幸福なんかでは承知出来ない。誰が見ても文句の無い・はっきりした形の善報が義人の上に来るのでなくては、どうしても面白くないのである。
天についてのこの不満を、彼は何よりも師の運命について感じる。ほとんど人間とは思えないこの大才、大徳が、なぜこうした不遇に甘んじなければならぬのか。家庭的にも恵まれず、年老いてから放浪の旅に出なければならぬような不運が、どうしてこの人を待たねばならぬのか。一夜、「鳳鳥至らず。河、図を出さず。已んぬるかな。」と独言に孔子が呟くのを聞いた時、子路は思わず涙の溢れて来るのを禁じ得なかった。孔子が嘆じたのは天下蒼生のためだったが、子路の泣いたのは天下のためではなく孔子一人のためである。
この人と、この人を竢つ時世とを見て泣いた時から、子路の心は決っている。濁世のあるゆる侵害からこの人を守る楯となること。精神的には導かれ守られる代りに、世俗的な煩労汚辱を一切己が身に引受けること。