Japanische Klassiker mit Furigana
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にじ
彩虹
山本 周五郎
Lesen Sie 彩虹 (にじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.898 Zeichen · 28 Bildschirme
「どうあそばしましたの、そんなにしげしげとごらんなすって」
「毎もとは人違いがしているようだから」
「珍らしいことを仰しゃいますこと」
さえは頭を傾げながらじっと伊兵衛を見た。
「……そう申せば貴方さまも常とはごようすが違うようにみえますわ」
「そうかも知れない、おれにはその理由があるんだから、そしてぶっつけに云ってしまうが、さえを嫁に欲しいという者があって、おれからさえに意向を訊いて呉れと頼まれたんだ」
「まあ、大変でございますこと」
「笑いごとではない、本当の話なんだ」
「ですけれどそんな」
と、さえは半信半疑に伊兵衛の眼を見つづけた。
「……そんなことがございますかしら、他処のむすめを欲しいからといって、親をも通さず直に気持を訊くなどということが」
「習慣というものはその人間の考え方と事情に依ってずいぶん変り兼ねないものだ、うちあけて云えば相手は脇田宗之助だよ」
「脇田さま、江戸からお帰りになったあの」
「去年あたりからだ」
伊兵衛はさえの追求するような眼から外向きながら、ふと述懐するような調子で云った。
「……おれは時どきさえの結婚する場合のことを考えた、おれのなかには初めて父に伴れられて食事をしにいった頃のさえの姿がそのまま成長しているので、結婚ということに結びつけて考えることはどうにもしっくりしない、なんだかおかしい