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Japanische Klassiker mit Furigana

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いようへん

影を踏まれた女

岡本 綺堂

Lesen Sie 影を踏まれた女 (いようへん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.110 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

もちろん屋敷そのものは、ずいぶん古い建物で、さんざんに住み荒らしてあるらしかったが、屋敷の門内はなかなか広く、庭や玄関前や裏手の空地などをあわせると、どうしても千坪以上はあるという話であった。

前にもいう通り、屋敷はさんざん住み荒らしてあるので、梶井の家ではその手入れに随分の金がかかったとかいうことであったが、家の手入れが済んでから更に庭の手入れに取りかかった。その頃は僕も子供あがりで、詳しいことは知らなかったが、梶井の父というのは何かの山仕事が当って、今のことばで言えば一種の成金になったらしく、毎日大勢の職人を入れて景気よく仕事をさせていた。すると、ある日曜日の午後だ。梶井があわただしく僕の家へ駈け込んで来て、不思議なことがあるから見に来いというのだ。

十一月のはじめで、小春日和というのだろう。朝から大空は青々と晴れて滝野川や浅草は定めて人が出たろうと思われるうららかな日であった。梶井が息を切って呼びに来たので、僕は縁側へ出て訊いた。

「不思議なこと……。どうしたんだ。」

「稲荷さまの縁の下から大きな蛇が出たんだ。」

僕は思わず笑い出した。梶井は今まで下町に住んでいたので、蛇などをみて珍しそうに騒ぐのだろうが、ここらの草深いところで育った僕たちは蛇や蛙を自分の友達と思っているくらいだ。