Japanische Klassiker mit Furigana
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かげをふまれたおんな
影を踏まれた女
岡本 綺堂
Lesen Sie 影を踏まれた女 (かげをふまれたおんな) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.608 Zeichen · 23 Bildschirme
そんなことを忘れてしまうために、今夜は遅くなるまで歩こうじゃないか。」
「ええ。」と、おせきは低い声で答えた。
――影や道陸神、十三夜のぼた餅――
子供の唄がまた聞こえた。それは近江屋の店さきを離れてから一町ほども歩き出した頃であった。
「子供が来てもかまわない。平気で思うさま踏ませてやる方がいいよ。」と、要次郎は励ますように言った。
子供の群れは十人ばかりがひと組になって横町から出て来た。かれらは声をそろえて唄いながら二人のそばへ近寄ったが、要次郎は片手でおせきの右の手をしっかりと握りながら、わざと平気で歩いていると、その影を踏もうとして近寄ったらしい子供等は、なにを見たのか急にわっと言って一度に逃げ散った。
「お化けだ、お化けだ。」
かれらは口々に叫びながら逃げた。影を踏もうとして近寄っても、こっちが平気でいるらしいので、さらにそんなことを言って嚇したのであろうと思いながら、要次郎は自分のうしろを見返ると、今までは南にむかっていたので一向に気が付かなかったが、斜めにうしろの地面に落ちている二つの影――その一つは確かに自分の影であったが、他の一つは骸骨の影であったので、要次郎もあっと驚いた。