Japanische Klassiker mit Furigana
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やくしゃのいっしょう
役者の一生
折口 信夫
Lesen Sie 役者の一生 (やくしゃのいっしょう) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.324 Zeichen · 31 Bildschirme
田之助・半四郎の後にその代りになるには源之助よりほかになかった。
前に言った通り源之助は若い時分から、「妲妃のお百」をやらせて、人々が田之助の幻影を見て喜んだという歴史を持っているのもそのためであった。これは明治六年に書かれた脚本で、元来田之助のために書かれたものなのだが、田之助の後、三津五郎を経て、源之助がさせられたのである。江戸末期に絶えんとした毒婦型・悪婆型を、一時、間に合せに源之助がさせられたのだが、それが源之助の役柄を決定してしまったのであった。こうして源之助は人々の渇望に応えて華々しく世に出たのであるが、それは又一面彼にとって不幸なことでもあった。
三
昔から歌舞妓芝居は女形の演ずる女を、悪人として扱っていない。立女形や娘役には、昔から悪人が少い。昔の見物は、悪人の女を見ようとしなかったのである。其処に、新しい領域が江戸末期に発見された。舞台の女が悪いことをするということは、つまりそれだけ相手役がいじめられることで、それを見物の方でも自分自分に感じて楽しむという――まあ訣り易くいえば一種のまぞひずむだが、これが源之助の芸の場合には大切な解釈であったのだ。