Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.621 Zeichen · 195 Bildschirme

Aozora Bunko

お前は孔子様の学説についてウンチクがあるそうじゃないか。万巻の読書をしたという話だぜ」

「アッハッハ。朝鮮で暮すには、孔子様の本を書棚につめておくに限りますよ。この男は孔子を読んでると分ると、便所の汲取人まで態度が変りますぜ。朝鮮人に尊敬されるには、これに限りまさア。このカンドコロが分ると、朝鮮は暮しいいところですぜ。孔子様を尊敬する民族が悪かろう筈はないでしょう」

「なるほど。朝鮮はそんなところかね。龍教の信者だけが孔子様をよむのかと思っていたよ」

「孔子を尊敬する国民である故に、孔子を尊敬する宗教も生れまさア」

重吉は大いに気どって、こう言いながら破顔一笑した。

どうも私には重吉がわからない。焼津署の報告に、信徒に童心あり、とある。無邪気の故に粗暴の如くであるが、実は最もしからず、ともある。彼の石頭は、中学生時代名題のものであったというが、石頭というものは、一つの物に凝ると真価を発揮するもので、意外に深く物を究めることもあるし、秀才とは別個の角度から、事物の真相を会得したりするものである。

私の見たところでは、重吉を大孫と断ずることは大いに妥当に思われた。