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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.621 Zeichen · 195 Bildschirme

Aozora Bunko

あるいはワザとそうするのかも知れない。敵に甘く見られたい計略かも知れないのである。それを承知していながらも、これをやるので、私も本当に彼を甘く見てしまう。時には、私まで赤面したくなってしまう。

巨勢博士があんまりトンマなことを言ったせいか、これを機に、大矢主任は懇談会を中止することにした。

「いろいろと話をうかがわせていただいて、ありがとうございました。最後に、ちょッと妙なお願いですが、皆さんに、左の手で、小田原、小峰、倉田由之、と書いていただきたいのですが」

大矢主任は手帳をさいて四人に配布し、用意の鉛筆を配った。

左手で書くのは、むつかしいものだ。みんな苦労している。

重吉にも来てもらって、書かせた。

ところが重吉はスラスラと書いた。

「オヤ。君はギッチョかね」

大矢主任は呆れてきいた。

「左様。左りマキの証拠かね」

「じゃア、右で書いてくれよ」

「アッハッハ」

重吉は、又、スラスラと書いた。

「驚いたね。君は、左右両刀使いかね」

「オヤ、オヤア。捜査主任ともあろうお方が変なことを仰有るぞウ」

重吉はイタズラッぽい目を光らせて笑いながら大矢主任を見つめた。