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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.621 Zeichen · 195 Bildschirme

Aozora Bunko

遠慮のない間柄とは云っても探偵事務所のことであるから、そこにはおのずから節度がなければならない。

「ヤア、失礼々々」

と、私が逃げだしかけるのを博士がよびとめて、

「いえ、もう、話が終ったところですから、いゝのです。先生、これから、パイ一でしょう? アハハ。探偵商売だもの、分りまさア。せっかくのカモがきてお誘い下さるというのに、これを逃がしちゃ、当節、たった一つの胃袋が持たないや。胃袋というものは神経のこまかいもので、ヒステリー、鬱病、ひょッとすると分裂病なども、このへんから起きてくるのかも知れませんぜ」

博士はパイプをくゆらしてニヤニヤした。巨勢博士がホンモノの博士でないのは先刻不連続殺人事件で御紹介ずみのところであるが、まだ三十そこそこの若僧、むかし私に弟子入りしたことがあるから、私を先生などゝよぶが、小説など書いたことはない。不連続殺人事件で一躍名をあげたから、探偵事務所などをやりだしたが、実はヤミ屋事務所かも知れず、この博士のやることは見当がつかないのである。

なるほど二人の訪客は、まさしく話が終って、すでに帰り仕度をとゝのえ終ったところに相違ない。