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Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょう

微笑

横光 利一

Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

その日から梶は栖方の光線が気にかかった。それにしても、彼の云ったことが事実だとすれば、栖方の生命は風前の灯火だと梶は思った。いったい、どこか一つとして危険でないところがあるだろうか。梶はそんなに反対の安全率の面から探してみた。絶えず隙間を狙う兇器の群れや、嫉視中傷の起す焔は何を謀むか知れたものでもない。もし戦争が敗けたとすれば、その日のうちに銃殺されることも必定である。もし勝ったとしても、用がすめば、そんな危険な人物を人は生かして置くものだろうか。いや、危い。と梶はまた思った。この危険から身を防ぐためには――梶はその方法をも考えてみたが、すべての人間を善人と解さぬ限り、何もなかった。

しかし、このような暗澹とした空気に拘らず、栖方の笑顔を思い出すと、光がぽッと射し展いているようで明るかった。彼の表情のどこ一点にも愁いの影はなかった。何ものか見えないものに守護されている貴とさが溢れていた。

ある日、また栖方は高田と一緒に梶の家へ訪ねて来た。この日は白い海軍中尉の服装で短剣をつけている彼の姿は、前より幾らか大人に見えたが、それでも中尉の肩章はまだ栖方に似合ってはいなかった。