Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme
また別の第三の偶然事、これは一番栖方らしく梶には興味があったが、――少年の日のこと、まだ栖方は小学校の生徒で、朝学校へ行く途中、その日は母が栖方と一緒であった。雪のふかく降りつもっている路を歩いているとき、一羽の小鳥が飛んで来て彼の周囲を舞い歩いた。少年の栖方はそれが面白かった。両手で小鳥を掴もうとして追っかける度に、小鳥は身を翻して、いつまでも飛び廻った。
「おれのう、もう掴まるか、もう掴まるかと思って、両手で鳥を抑えると、ひょいひょいと、うまい具合に鳥は逃げるんです。それで、とうとう学校が遅れて、着いてみたら、大雪を冠ったおれの教室は、雪崩でぺちゃんこに潰れて、中の生徒はみな死んでいました。もう少し僕が早かったら、僕も一緒でした。」
栖方は後で母にその小鳥の話をすると、そんな鳥なんかどこにもいなかったと母は云ったそうである。梶は訊いていて、この栖方の最後の話はたとい作り話としても、すっきり抜けあがった佳作だと思った。
「鳥飛んで鳥に似たり、という詩が道元にあるが、君の話も道元に似てますね。」
梶は安心した気持でそんな冗談を云ったりした。西日の射しこみ始めた窓の外で、一枚の木製の簾が垂れていた。