Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme
それでは今日は栖方の休日にしようと云うことになって、それから梶たち三人は句を作った。青葉の色のにじむ方に顔を向けた栖方は、「わが影を逐いゆく鳥や山ななめ」という幾何学的な無季の句をすぐ作った。そして葉山の山の斜面に鳥の迫っていった四月の嘱目だと説明した。高田の鋭く光る眼差が、この日も弟子を前へ押し出す謙抑な態度で、句会の場数を踏んだ彼の心遣いもよくうかがわれた。
「三たび茶を戴く菊の薫りかな」
高田の作ったこの句も、客人の古風に昂まる感情を締め抑えた清秀な気分があった。梶は佳い日の午後だと喜んだ。出て来た梶の妻も食べ物の無くなった日の詫びを云ってから、胡瓜もみを出した。栖方は、梶の妻と地方の言葉で話すのが、何より慰まる風らしかった。そして、さっそく色紙へ、
「方言のなまりなつかし胡瓜もみ」という句を書きつけたりした。
栖方たちが帰っていってから十数日たったある日、また高田ひとりが梶のところへ来た。この日の高田は凋れていた。そして、梶に、昨日憲兵が来ていうには、栖方は発狂しているから彼の云いふらして歩くこと一切を信用しないでくれと、そんな注意を与えて帰ったということだった。