Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びしょう

微笑

横光 利一

Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

すると、その翌日栖方は一人で梶の所へ来た。

「参内したんですか。」

「ええ、何もお答え出来ないんですよ。言葉が出て来ないのです。一度僕の傍まで来られて、それから自分のお席へ戻られましたが、足数だけ算えていますと、十一歩でした。五メータです。そうすると、みすが下りまして、その対うから御質問になるのです。」

ぱッといつもの美しい微笑が開いた。この栖方の無邪気な微笑にあうと、梶は他の一切のことなどどうでも良くなるのだった。栖方の行為や仕事や、また、彼が狂人であろうと偽せものであろうと、そんなことより、栖方の頬に泛ぶ次の微笑を梶は待ちのぞむ気持で話をすすめた。何よりその微笑だけを見たかった。

「陛下は君の名を何とお呼びになるの。」

「中尉は、と仰言いましたよ。それからおって沙汰する、と最後に仰言いました。おれのう、もう頭がぼッとして来て、気狂いになるんじゃないかと思いましたよ。どうも、あれからちょっとおかしいですよ。」

栖方は眼をぱちぱちさせ、云うことを聞かなくなった自分の頭を撫でながら、不思議そうに云った。

「それはお芽出たいことだったな。用心をしないと、気狂いになるかもしれないね。