Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅう
心中
Lesen Sie 心中 (しんじゅう) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.515 Zeichen · 17 Bildschirme
お松は少し依怙地になったのと、内々はお花のいるのを力にしているのとで、表面だけは強そうに見せている。
「わたし開けてよ」と云いさま、攫まえられた袖を払って、障子をさっと開けた。
廊下の硝子障子から差し込む雪明りで、微かではあるが、薄暗い廊下に慣れた目には、何もかも輪郭だけはっきり知れる。一目室内を見込むや否や、お松もお花も一しょに声を立てた。
お花はそのまま気絶したのを、お松は棄てて置いて、廊下をばたばたと母屋の方へ駈け出した。
* * *
川桝の内では一人も残らず起きて、廊下の隅々の電灯まで附けて、主人と隠居とが大勢のものの騒ぐのを制しながら、四畳半に来て見た。直ぐに使を出したので、医師が来る。巡査が来る。続いて刑事係が来る。警察署長が来る。気絶しているお花を隣の明間へ抱えて行く。狭い、長い廊下に人が押し合って、がやがやと罵る。非常な混雑であった。
四畳半には鋭利な刃物で、気管を横に切られたお蝶が、まだ息が絶えずに倒れていた。ひゅうひゅうと云うのは、切られた気管の疵口から呼吸をする音であった。お蝶の傍には、佐野さんが自分の頸を深くった、白鞘の短刀の柄を握って死んでいた。