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Japanische Klassiker mit Furigana

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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

Lesen Sie 心理試験 (「しんりしけん」じょ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.338 Zeichen · 197 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうです、得る所がありましたか?」と、首相は立ち上りながらたずねた。

松島氏は軽く会釈した。人々は何を言い出すかと一斉に松島氏の口元を見つめた。松島氏はその時、極めて落ついた声で言った。

「実に難事件です。あまりにスキのない完全な事件ですから、慾をいえば、たった一こと欠けております」

「え? 何か事件に欠点があるというのですか?」とI総監は訊ねた。

「そうです。いわばこの事件には、たった一つ大きな手ぬかりがあります」といって、松島氏はにこりと笑い、更に言葉を続けた。「それに、犯人もたった一つ手ぬかりをしております!」

四

不思議な実験によって、事件そのものに大きな手ぬかりを発見し、犯人の手ぬかりをさえ見つけた松島氏も、犯人そのものを見つけることは出来なかったと見えて、一月を経、二月を過ぎて、その年が暮れても、D外相暗殺の犯人は逮捕されなかった。松島氏は外相夫人に向って、ただこの上は時節を待つより外、施すべき術のないことを告げ、いつかは犯人の知れる時期があるであろうという、はかない希望を与えるに過ぎなかった。

それにしても、松島氏の見つけた、事件の大きな手ぬかりとは何であろう? 又、犯人はどんな手ぬかりをしたのであろうか? 実験の当夜それに就ての首相の質問にさえ答えなかったくらいであるから、無論外相