Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうぼく
忠僕
池谷 信三郎
Lesen Sie 忠僕 (ちゅうぼく) von 池谷 信三郎 (いけたにしんざぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.898 Zeichen · 6 Bildschirme
こうやって釣った鮎は毎日の客の膳に上るのだった。
久助は先代の時から、毎日この鮎だけを釣るのが仕事だった。この村で鮎を釣るのは一番だと云われていた。多い日には二十本もあげた。
久助は今、岩に腰をかけて、煙管でぷかぷかと一服休んでいる。紫色の煙が澄み切った秋の空気の中を静かに上っている。赤蜻蛉がすいすいと飛んでいる。
向う岸の竹藪に夕陽がわびしくさしているのを眺めながら、久助はぼんやりと考えていた。
あんなお人好しで、人を信じる事だけしか知らない若主人じゃ、今にあの竹藪もなあ、と深い溜息を吐いた。
その時、丁度頭の上で、ガタガタと音がした。久助はびっくりして空を見あげた。
川べりに生えた栗の大木の梢に、釣橋がガタガタと揺れている。青白い女の顔が、山と山で細長く区切られた夕暮の空の中で、晴れやかに笑っている。
久助は煙管をぽんと岩角にぶっつけて、おしまかと云った。
釣橋のたもとに一軒家があった。土地の曖昧宿で、久助は給金を皆んなそこで飲んでしまった。おしまはそこのお酌だった。久助は惚れていたが、おしまは何とも思っていなかった。
久助さんにゃ、鮎は釣れてもおしまは釣れめえ、と朋輩がからかった。