Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
忠直卿は、ある日近習の一人が、自分に家老たちからの書状を捧げるとて、四、五段の彼方からいざり寄ろうとするのを見て、
「ずっと遠慮いたさず前へ出よ! さような礼儀には及ばぬぞ」といった。が、それは好意から出た注意というよりも、焦燥から出た叱責に近かった。侍臣は、主君の言葉によって、元の心安さに帰ろうとした。が、そうした意識を伴った心安さの奥には、ごつごつとした骨があった。
真槍の仕合以来、忠直卿は忘れたかのように、武術の稽古から身を遠ざけた。毎日日課のように続けていた武術仕合を中止したばかりでなく、木刀を取り、稽古槍を手にすることさえなくなった。
威張ってはいたが寛闊で、乱暴ではあったが無邪気な青年君主であった忠直卿は、ふっつりと木刀や半弓を手にしなくなった代りに、酒杯を手にする日が多くなった。少年時代から豪酒の素質を持ってはいたが、酒に淫することなどは、決してなかったのが、今では大杯をしきりに傾けて、乱酒の萌がようやく現れた。
ある夜の酒宴の席であった。忠直卿の機嫌がいつになく晴々しかった。すると、彼にとっては第一の寵臣である増田勘之介という小姓が、彼の大杯になみなみと酌をしながら、