Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
まだ長吉丸といっていた十三歳の昔、父秀康卿の臨終の床に呼ばれて、「父の亡からん後は、国老どもの申すことを父が申すことと心得てよく聞かれよ」と諭されたことを、大事に守っていた。
が、この頃の彼は、国政を聞く時にも、すべてを僻んで解釈した。家老たちが、ある男を推薦して褒め立てると、彼はその男が食わせ者のように思われて、その男を用うることを、意地にかかって拒んだ。国老たちが、ある男の行跡の非難を申し上げて、閉門の至当であることを主張すると、忠直卿は、その男が硬直な士であるように思われて、いっかな閉門を命ずることを許さなかった。
越前領一帯、その年は近年希な凶作で、百姓の困苦一方ではなかった。家老たちは、袖を連ねて忠直卿の御前に出で、年貢米の一部免除を願い出でた。が、忠直卿は、家老たちが口を酸っぱくして説けば説くほど、家老たちの建言を採用するのが厭になった。彼自身、心のうちでは百姓に相当な同情を懐きながら、家老たちのいいままになるのが不快であった。そして、家老たちがくどくどと説くのを聞き流しながら、
「ならぬ! ならぬと申せば、しかと相ならぬぞ」と、怒鳴りつけた。