Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Lesen Sie 怒りの虫 (いかりのむし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.457 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「ああそうか。そんなことなら、あいつがいい。いつもでたらめな音楽批評ばかりやってる。そら、君も知ってるじゃないか。ええと、そら、あの男さ。」

木山は額をとんとん叩いた。

「君も知ってるじゃないか。あの若い男さ。ええと、そら、いつもぱちぱち目ばたきばかりしてる、色の白い、髪の毛を長く伸した……。」

「ふーむ、誰だい。」

「君も知ってるじゃないか。あの男……何とかいった……おかしいなあ、喉元まで出かかってるんだが……。」

木山はまた額を叩き、立ち上って、小首を傾げながら歩きだした。林は苦笑したままそこに残された。

木山が控室の方にはいりかけると、そこでお茶を飲んでいた数人の中から、塚本夫人がつと立って来て、彼の腕を捉えた。そして囁いた。

「明日、午後、事務所の方へ伺います。待っていて下さいね。」

木山は頷いた。

「だいじな用ですの。きっとですね。」

「今晩、これからでもいいですよ。」

「いいえ、明日にしましょう。ゆっくりお話したいから。」

彼女の眼は刺すように光っていた。

「いったい、どんなことですか。」

「塚本のこと。お話しましたでしょう。いよいよ、わたくしの方へ帰って来ることになりそうですの。