Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいだすかずかず
思い出すかずかず
宮本 百合子
Lesen Sie 思い出すかずかず (おもいだすかずかず) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.924 Zeichen · 10 Bildschirme
私は日向の廊下に腰をかけ、空の乾いた傘棚に肱をもたせながら、思い極まった顔をしてその後姿を眺める。天気のよい日、磨かれた靴が特に光り、日を照り返して捩くれるのを見ると、私の心は云いようもなく重く悲しく、当のない憤懣を感じずにはいられないのである。――思うと笑わずにはいられない。
先生や友達の個人的な思い出は抜き、次に印象深いのは、お昼休み前後の光景である。
想っただけで、私の前には、あの輝く空と、波のように砂利を踏む無数の足音、日を吸って白く暖い廊下、笑声、叫ぶ声が聞えて来る。御弁当を持たず、家が近所の人は帰るので、教室から出て来たばかりの時は、まだまだ運動場はからりとしている。小さい女の子はお手玉をとりとり大きな声で謡をつけ、大きい女の子は、廊下の気持よい隅や段々の傍で、喋り笑い、ちょいと巫山戯て、追いかけっこをする。けれども、だんだん子供が帰って来、入り乱れる足音、馳ける廊下の轟きが増し、長い休の中頃になろうものなら、何と云おうか、学校中はまるで悦ぶ子供で満ち溢れてしまう。
四十分か五十分の日中のお休みは、何といいものであったろう! 鐘が鳴るのに、まだ、まだ時間はあるというくつろぎ、云い難い甘美がある。