Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいだすままに
思い出す儘に
木暮 理太郎
Lesen Sie 思い出す儘に (おもいだすままに) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.015 Zeichen · 11 Bildschirme
倒木の少い処は白檜の若木が密生して行手を塞いでいる、霧でも懸れば途方に暮れてしまう。二度目に霧の深い日、倒木を避けて富士見の南の峰を少し左へ廻り気味に搦んだ為に、いつしか三角点近くまで辿り着き、ふと霧の絶間から三宝山を真東に望み見て慌てて引返した。水止ではこれも倒木を避けて右に捲いたので、まんまと両門ノ瀑へ下る尾根に引込まれたりした。それが昭和六年の夏に久振りで金峰甲武信間を通って見ると、道は改造され、指導標は立てられ、国師の頂上などは周囲の木がすっかり伐り払われて、居ながらにして四方の眺望が得られる。あの倒れかかった一等三角点の大きな櫓に上ってさえ、甲武信方面への尾根の続き工合がよく見られなかったことを思えば、全く隔世の感にたえない。其処には方向を指示する盤面が置かれてあるから、盲でない限り迷う者はあるまい。殆ど十時間を要した道程が四、五時間に短縮されたのは尤である。
然し十文字峠から股ノ沢の岩峰を踰えて、三宝山に至る縦走を試みたのは、この山旅のもうけものであった。甲武信の側師の小屋に泊って、雨に降り込められた翌日の午後、降りしきる雨を衝いて、大きな油紙を頭から被り、荒縄を帯にして山から下った三人の異様な姿には、流石に村の人も驚いていた。