Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

ヘルンの云う静かな世界はとうとうこわれてしまいました。あの三本の杉の樹の倒されたのが、その始まりでした。

淋しい田舎の、家の小さい、庭の広い、樹木の沢山ある屋敷に住みたいと兼々申していました。瘤寺がこんなになりましたから、私は方々捜させました。西大久保に売り屋敷がありました。全く日本風の家で、あたりに西洋風の家さえありませんでした。

私はいつまでも、借家住いで暮すよりも、小さくとも、自分の好きなように、一軒建てたいと申しますと、『あなた、金ありますか』と申しますから『あります』と申します。『面白い、隠岐の島で建てましょう』といつも申します。私は反対しますとそれでは『出雲に建てて置きましょう』と申しますから、全く土地まで捜した事もありました。しかし私はそれほど出雲がよいとも思いませんでしたから、ついこの西大久保の売屋敷を買って建増しをする事に、とうとうなったのでございます。

兼てヘルンは、まじりけのない日本の真中で生きる好きと云うのでしたから、自分でその家と近所の模様を見に参りました。町はずれで、後に竹籔のあるのが、大層気に入りました。建増しをするについては、冬の寒さには困らないように、ストーヴをたく室が欲しい。