Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme
しかし、ヘルンは辺鄙なところ程好きであったのです。東京よりも松江がよかったのです。日光よりも隠岐がよかったのです。日光は見なかったようです、松江に参りましてからは行った事がございませんから。日光は見たくないと云っていました。しかし、行って見ればとにかくあの大きい杉の並木や森だけは気に入ったろうと思われます。
私の参りました頃には、一脚のテーブルと一個の椅子と、少しの書物と、一着の洋服と、一かさねの日本服位の物しかございませんでした。
学校から帰ると直に日本服に着換え、座蒲団に坐って煙草を吸いました。食事は日本料理で、日本人のように箸で食べていました。何事も日本風を好みまして、万事日本風に日本風にと近づいて参りました。西洋風は嫌いでした。西洋風となるとさも賤しんだように『日本に、こんなに美しい心あります、なぜ、西洋の真似をしますか』と云う調子でした。これは面白い、美しいとなると、もう夢中になるのでございます。
松江では宴会の席にも度々出ましたし、自宅にも折々学校の先生方を三四名も招きまして、御馳走をして、色々昔話や、流行歌を聞いて興じていました。