Japanische Klassiker mit Furigana
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おんりょうしゃくよう
怨霊借用
泉 鏡花
Lesen Sie 怨霊借用 (おんりょうしゃくよう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.803 Zeichen · 38 Bildschirme
――と申すは、唯今の花、このお座敷、あるいはお隣に当りましょうか。お娘ごには叔父ごにならっしゃる、富沢町さんと申して両国の質屋の旦が、ちょっと異な寸法のわかい御婦人と御楽み、で、大いお上さんは、苦い顔をしてござったれど、そこは、長唄のお稽古ともだちか何かで、お桂様は、その若いのと知合でおいでなさる。そこへ――ここへでござります……貴女のお座敷は、その時は別棟、向うの霞で。……こちらへ遊びに見えました。もし、そのお帰りがけなのでござりますて。
上方の御老体が、それなり開けると出会頭になります。出口が次の間で、もう床の入りました座敷の襖は暗し、また雪と申すのが御存じの通り、当館切っての北国で、廊下も、それは怪しからず陰気だそうでござりますので、わしどもでも手さぐりでヒヤリとします。暗い処を不意に開けては、若いお娘ご、吃驚もなさろうと、ふと遠慮して立たっせえた。……お通りすがりが、何とも申されぬいい匂で、その香をたよりに、いきなり、横合の暗がりから、お白い頸へ噛りついたものがござります。」……
「…………」
「声はお立てになりません、が、お桂様が、少し屈みなりに、颯と島田を横にお振りなすった、その時カチリと音がしました。