Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「月照上人は近衛殿から、俺が懇篤に頼まれたお方じゃ! それに俺には義兄弟じゃ! 安全の場所へおかくまいするまでは、上人の身辺で荒々しい所業など、どうあろうと起こしてはならぬ! それを何んじゃ斬るの突くのと! もう汝の力など借りぬ! 俺一人で送って行く! 帰れ帰れ、汝帰れ!」
力士陣幕に似ているといわれる、肥えた大きなお躰を、いつものんびりと寛がせて、子供に懐かれるような優しいお顔を、たえず長閑そうに微笑させておられる、そういう吉之助様ではありましたが、たまたまお怒りになりますると、雷が落ちたと申しましょうか、霹靂が轟いたと申しましょうか、恐ろしいありさまでございました。
(いったいどうなることだろう?)と、私は小さくなって見ていました。
でも何んともなりませんでした。吉之助様に対しますると、弟のように柔順な俊斎様が、
「これは俺がよくなかった。軽卒な真似など決してせぬ。帰れといわれて帰られるものではなし、一緒に上人を送らせてくれ」
と、こう穏かに詫びましたので、吉之助様の怒りも解け、
「俺も少し云い過ぎたようじゃ」
と、気の毒そうに云ったからでした。
この間ご上人様は何もおっしゃらず、透きとおるほど白いお顔の色、和尚様と申そうよりも、尼君様と申しました方が、いっそう似つかわしく思われるような、端麗柔和の上品の