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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

「ではおねがいいたします」

茶屋の娘がこう云い云い、差し出した盆を片手で受け取ると、その女はそれを持って人を分けて、門口の方へ行きました。

ご上人様の駕籠に近寄ったのでした。

何がなしに不安を感じまして、私はハッといたしましたが、吉之助様も俊斎様も、同じように不安を感じられたと見えて、顔を見合わせましてございます。

といってどうすることも出来ませんので、私たちはじっと見詰めていました。

駕籠へ近寄りますとその女は、何か云ったようでございます。すると駕籠の扉が細目に開いて、ご上人様の手が出ました。湯呑みを取ろうとなされたのでしょう。女の手にしても珍らしいほどの、白い細い柔かい、指の形などのいかにも上品な――とんと形容しようもないほどに、お美しいお手でございました。

と、どうでしょうそのご上人様の手先を、甲斐絹の手甲の女の手が、ヒョイと握ったではございませんか。

(あッ)と私が思いましたとたんに、吉之助様が腰を上げました。手を刀の柄へかけながら。

三

その次に起こった出来事といえば、ご上人様が手を引かれたことと、それについて女が半身を泳がせ、駕籠の扉へもたれかかり、扉の間から顔を差し入れ、ご上人様のお顔を見たらしいことと、その拍子に湯呑みが盆から落ちて、地面へ茶をこぼしたことでした。