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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

たとえばその人の足の踵が、桜貝のような色をしていたというので、旦那をすててその人と逃げたり、その人が笑うと糸切り歯の端が、真珠のように艶めくというので、許婚をすててその人と添ったり、おおよそ女ってそんなものだよ。……あの人のお手、綺麗だねえ」

「…………」

「八百八狸も名物だけれど、でも四国にはもっと凄いものが、名物となっている筈だよ。犬神だアね、犬神だアね」

「…………」

「でも犬神もこんなご時勢には、ご祈祷ばかりしていたんでは食えないのさ……。犬の字通り隠密にだってなるのさ。……取っ付きとさえ云われている犬神、こいつが隠密になったひにゃア、どんな獲物だって逃がしっこはないよ」

四

わたしとその女とは突っ立ったままで、話しているのではありませんでした。わたしが河岸の方へ歩いて行くので、その女が従いて来て、そう小声で話しかけるのでした。

「でもねえ」とその女は云いつづけました。「そういう女が裏返ると、かえって力になるものでねえ。……綺麗なあの手に触れてからというもの、わたしは、そうさ、犬神の娘は。……それはそうと、ねえ重助さん、向こうにどんな奴が集っていたって、船頭の奴らが何をごてようと、心配はいらないからそう思っていておくれ。