Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「…………」声も出されずわたしはへたばってしまいました。肩から※(「てへん+宛」、第3水準1-84-80)ぎとられた片腕が、わたしの胸へあたったからです。
へたばったままで顔を上げて、奥の部屋を見た時のわたしの恐怖は! おお何んと云ったらいいでしょうか! ともかくもわたしの一生を通じて、忘れられないものでございました。
一匹の巨大な白犬が、人間の男を抱きすくめ、その喉笛を食い裂いているのです。
犬神の娘のお綱という女が、巫女の着る白い行衣を着、裾まで曳きそうな長い髪を、顔や肩へふり乱し、両腕を※(「てへん+宛」、第3水準1-84-80)がれて呼吸絶えているらしい藤兵衛という男を両手で抱きすくめ――後で聞いたことではございますが、この藤兵衛という目明しは、梅田源次郎様その他の志士を、あらゆる姦策をもって捕えました結果、自分も志士方に惨殺された、有名な京都の目明し文吉、この男の兄弟分でありましたそうで、そうしてお綱の情夫だったそうで、そうしてご上人様を捕えようとして、京都から浪速、九州と、つけ廻して来た男だったそうでございます。――その藤兵衛という男を抱きすくめ、その藤兵衛という男の咽喉を食い裂いた、血だらけの口、血だらけの顔を、藤兵衛という男の肩ごしに、わたしたちの方へ向けながら、怒りの眼を光らせている様子