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Japanische Klassiker mit Furigana

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ハムレット

怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット

久生 十蘭

Lesen Sie 怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット (ハムレット) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.034 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

ハムレットの正覚が夜中から朝までの間にはじまったであろうというのはつまりはこのことなので、これが昼だったら敵にたいする身構えができないうちに北山にいろいろな質問をし、相手にはっきりと正気をさとられてしまったろうと思われるからです。これはハムレットの運のいいところで、同時にまたハムレットが非常に沈着で冷静だったことを証拠だてています。

こうしてハムレットは、北山と綣村のちょっとした会話から、看護夫の不用意なおしゃべりから、長い間忍耐強くすこしずつ材料を掻きあつめ、組みたて、けっきょく阪井がじぶんの財産を横領し、狂するばかりに愛していた琴子さんを奪うために、こういう境遇へつき落した、この事件の惨憺たる事情をはっきりと見きわめることができたのでしょう。

ハムレットにとって正覚はよろこびではなく、苦い、索漠たるものでした。覚醒してみると、じぶんはもう四十四歳……財産も愛人も叔父にうばわれ、体力は衰え、能力は退化し、人間並の生活をすることさえおぼつかないのに、友もなく知人もない孤独無力なじぶんが阪井を相手に争うなどということはかんがえるさえ無意味であるばかりか、じぶんが正気になったと知ったら阪井はたぶん生かしてはおくまいが、じぶんが気狂いであるかぎり、生活と生命の心配はない。