Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

こんな荒涼とした、人っ子一人見えぬ、冬の暮れかかる原野で、人もあろうに、狂人の話相手にされるとは――

あ、そういえば、今あの男は、病院から看護人の隙を窺って、遁げて来たんだといっていた――すると……。

中田はどうやら、この荒涼たる原が、どの辺だかを、朧気ながら想像することが出来てきた。彼の考えでは、ここは確かK――電車の沿線、松沢駅から程遠からぬ多摩川よりの所ではないか、というのであった。なぜならば、そう考えると、その附近にはあのK――という有名な精神病院がある筈だからである――。

中田が、やっとここまで考えて来た時、グッと肩を引き戻されたと同時に、耳元であの狂人の言葉を聞いた。

『君、君、遁げなくてもいいだろう――、も少し話そうよ』

『あ』

(了った――)

中田は、押えられた手の下の肩に、気味のわるい汗を感じた。自分ではどんどん歩いていた積りであったが、いつの間にかぼんやりとした頭は、考えることに気をとられて、又ぶらりぶらりと歩いているところを、追いつかれてしまったものであろう。ああ俺は、なんという間の抜けた、だらしのない人間なのだ。

中田にはもう腹立たしさを感ずる前に