Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
山鹿は、人をくったように、黄色い歯齦を出して笑うと、
『この先に、私の小さい別荘があるんですが、こんど是非一度ご来臨の栄を得たいもんですね』
『そうですか、じゃ、そのうち一ど……』
(どうせ、ろくな金で建てたんじゃなかろう)
と思いながら、不図、
『ああ、山鹿さん、あの少女は匕首を投げつけられたんじゃないでしょうか、何処からか、素早く……』
『ふーん』
山鹿は頸をかしげたが、すぐ、
『駄目駄目。投げつけた匕首が、砂を潜って、俯伏になった体の下から、心臓を突上げられる道理がないですよ……、ところで、あの前後に、あの一番近くを通ったのはあなたじゃないですか――、どうもその浴衣すがたというのは、裸※坊の中では眼だちますからね――』
『冗、冗談いっちゃいけませんよ、僕が、あの見も知らぬ少女を殺ったというんですか』
鷺太郎は、この無礼な山鹿に、ひどく憤ろしくなった。
『僕、失敬する――』
帰ろう、とした時だった。色の褪めたビーチコートを引っかけた青年団員が飛んで来て、
『すみませんが、この辺にいられた方は暫くお立ちにならないで下さい』
と、引止められた。
(ちぇっ!)
と舌打ちしながら、山鹿の横顔を偸見ると、彼は相変らずにやにやと薄く笑いながらわざと外っぽを向いていた。