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Japanische Klassiker mit Furigana

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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

遅蒔に、それを知った私は、いくらかの躊躇は感じたが、そしてその口実にあれこれとさんざ迷ったのだが、遂に好奇心の力に打まかされて訪問を決心したのは、それから又、一週間も経ってからであった。

あの崖の小径を登り切って見ると、彼は、その女と暮しながらも、猶、仕出屋の食事をつづけているらしく、勝手口の外には喰いちらかされた二人分の食器と、やっと暖かくなって来たかと思われるこの頃だのに、もうむくむくと肥った青蠅が、ぶーんと飛立つのが見られ、ひどく不潔な彼の生活が其処に投出されているかのように眺められた。

春日は、ピアノも何もない殺風景な部屋の中に、垢じみた蒲団を敷っぱなして、独りゴロンと寝そべっていた。近寄って見ると、気のせいか、彼の顔色は土色に褪せ、カサカサした皮膚が、痛々しくさえ思われた。

『や――』

彼はゆっくり起上って、笑顔を見せた。

『しばらくでしたね、ま、どうぞ――』

『結婚されたそうじゃないですか』

これが、私の訪問の口実であった。

『結婚? いいや今は一緒にいる、っていうだけですよ。こんどの女もネネのように、機会さえあれば僕を踏台にしてゆこうという女ですよ、それはわかっているんだけれど、……』