Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
(ネネの姉妹?――)
などという甘いロマンチズムは、かくして虚空の外にケシ飛び、儚くも粉砕してしまったのだ。
五
日増しにく暖かくなって、藤の花が一つ二つ咲きはじめた日であった。
あれから、思っただけでも虫酸の走る花子のことを考えると、私は絶えて春日を訪れることもなかった。
海に面した縁先に、寝椅子を持出して、目をつぶった儘、
(東京へ帰ろうか――)
などと思われる日であった。
思えば、なぜ「この日」を其処で迎えてしまったのであろう。その前になぜ東京へ帰って仕舞わなかったのであろう、と悔まれるのであるが、しかし、それも亦、宿命という説明し尽されぬ魔力に、まだ私は囚われていたのに違いないのだ。
それは、花子との二重写しに依って、漸く薄れて来たネネの面影が、又々生々しく甦って来、私の胸を騒がすような事件が待設けていたのであった。
午後であった、しかし、まだ午を廻って間もない時分だ。裏木戸を蹴飛ばすような騒々しい音と一緒にあの植木屋が大事件だ、というような顔をして飛んで来た。
『いま、自動車が崖から落ちて怪我人が出たというんで大変な騒ぎで……』
『ほう、東京の人かね』