Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
『やあ、どうしたい――』
振返って見ると、同級生だった友野が、にやにやしながら立っていた。
『しばらくだったなァ、勤めたのかい』
『うん』
友野は、少しばかり反身になって、胸のバッチを示した。そこには帝国新聞の社章が、霧に濡れて、鈍く、私の無為徒食を嗤うようにくっついていた。
『君は』
『……病気をしちゃってね、やっと今、海岸を引上げて来たんだ……ふっふっふっ』
『そりゃいけない、少し痩せたかな……』
『そうかしら……お茶でも飲もうか……仕事は何をやってんだい』
『学芸部さ……でもなかなか忙しいぜ』
友野は、忙しいというのを誇るようにいった。そして、駅前の喫茶店に這入って、さて、コーヒーを注文してから、
『東洋劇場は何をやっているんだ、今――』
『ええと……』
友野は一寸眼を俯せると、すぐすらすらと出し物をいった。しかし、その中にはネネの名はなかった。
『秋本ネネ……というのはどうしたね』
私は恐る恐る、それでも、思わず胸をときめかせ乍ら訊いた。
『ああ、あれはね……、変な話があるんだ、というのはやまいなんだよ、そのやまいも、一寸人にはいえん、という奴でね、話によると、東京の医者は顔を知られてるから駄目だというんで、わざわざ埼玉の方の小さい開業医のところへ名を変えて通っている――っていう話だ、人気者も亦つらいね』