Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
そしてそこは緑い微生物の群のために膨れ上っているように見え、本当に明るいのはその部分だけで、そこから遠ざかるにつれて薄暗く、向う岸などは此処から見ると藍色味を帯びているように見えた。子供の時に聞いた魔の沼のようであった。
が、そうして、あたりを見廻していた川島の好奇な眼に、思いがけないものが飛込んだのだ。それは、左手の方の一寸入り込んだ水際につながれているボートだった。ボートというよりもボートと小舟の折衷のような、早くいえば無細工至極なものだったけれど、兎も角そうしたものがある以上、近所にこの沼を利用している人間が住んでいることは間違いもないことだ。
地図に無い沼を偶然に発見して、ハイカーらしく胸を躍らせていた川島は、見事に肩すかしを喰ったような気持だった。
(しかし……)
川島は、道のない水際をそのボートの方に歩きながら考えた。この沼には魚の類は一つもいないようだ。――若しいるとすれば、魚にとって絶好な食物の緑い微生物が、これほどまで自由に繁茂し、沼全体を占めてしまうわけがない。とするとそのボートは人間が魚をとるために使うものではなさそうである。