Japanische Klassiker mit Furigana
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かいだん
怪談
平山 蘆江
Lesen Sie 怪談 (かいだん) von 平山 蘆江 (ひらやまろこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.551 Zeichen · 7 Bildschirme
天井うらが気になる。襖紙の向うの廊下がふり向れる、押入れの中などに至っては一層怖くてたまらなくなる。何しろ広い二階に只一人だと思ったら、身も世もあられなくなって、思わず知らず、お父さんと呼んだ。そして駈け上った父に我から見つかって本は取り上げられた上、半日ばかり土蔵に入れられて、この土蔵で又ぞろ、二重の怖い思いをした事がある。
夜半の怖さ淋しさというものより、真昼間の怖さ淋しさは一層物凄いものだという事をしみじみ感じたその時からであった。二十歳の時であった。鈴鹿峠を只一人、歩いて越した事がある。雨のしょぼしょぼ降る午後の二時頃菅笠をかぶり、糸楯を着て、わらじがけでとぼとぼと峠を上ると、鬱蒼として頭の上に茂った椎の木の梢で、男と女の声がする。仲よく話しているような声でそれがいつまでもいつまでも聞こえる。こちらが急ぎ足になっても、ゆっくり歩いても、いつも同じあたまの上から笠ごしに聞こえる。丁度七曲りの坂を四曲りほど上る間。その声のつきまとうのが気になった。その間、幾度前後をふりむいても人っ子一人通らない。私は気持がわるくなったので、うんと馬力をかけて五つ曲り目を駈け上ると、丁度六曲り目というところに、男と女が番傘一本を相合傘にして、上ってゆくのを見た。